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AHB/045 R 大切な手紙 あなる/超平和バスターズ 女性 パートナー ムスっとするあなる/超平和バスターズ 女性 レベル 2 攻撃力 3000 防御力 5000 【…?】《ロマンス》 【自】 このカードが手札からベンチに置かれた時、あなたのリタイヤがすべて《ロマンス》なら、あなたは自分のリングのカードを選び、そのターン中、そのカードを+1000/+0。 作品 『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 備考 このカードをパートナーにしているカード 取得中です。 関連項目 取得中です。
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――かつて、戦争がありました。 遺伝子操作を受けて生まれたコーディネイターと、自然に生まれたナチュラルとの間の抗争に端を発した戦争は、世界中の国々を巻き込み、休戦を挟みながら、ようやく3年前にオーブ連合首長国主導の下、終結しました。 オーブの代表カガリ=ユラ=アスハさまは史上初の統一地球圏連合政府の主席になり、弟のキラ=ヤマトさま、お二方の親友であるラクス=クラインさまと世界をお治めになり、人類史上初の恒久平和を完成させたのでした―― CE78年9月25日、オーブ気象庁は今年の雨季の明けを宣言した。 毎日のように叩きつけられて来たスコールはぱたりと途絶え、天頂にぎらぎらと輝く太陽が、ヤラファス本島に広がる首都オロファト市を鮮やかに照らし出していた。 旧世紀の昔、いまだオーブの民が農業と漁業で生計を立てていた時代には、炎天下の日中に午睡をとる習慣もあったという。だが現在の住人の大半には、そのような贅沢は許されていない。 しかし上着を脱ぎ、汗を拭きながらオフィス街を行く市民の雰囲気は、個人差こそあれ押し並べて明るい。 『南海の宝珠』から『世界の首都』へ。この5年間でオーブが成し遂げた躍進は、社会全体に見えざる活気をもたらしていた。 特にこの日は、午後からの統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典を控え、街は会場へと向かう人々や警備についている一般警察で混み合っている。 二度の大戦で被った戦災の陰など、もはやどこにも見当たらない。 オーブの人々にとって未来とは、常に明るいと心底から信じられるものだった。 蒼い空に鳶が孤を描いて飛び去っていく。 遠くから時折、花火の音が聞こえる。 今日は祭りの日なのだ。 ソラ=ヒダカは、この季節のオーブが少し苦手だった。 強い日差しは東洋系のナチュラルにしては色白なソラの肌には少々厳しく、全寮制アスハ記念女学校の制服に包まれたほっそりとした体は汗をにじませていた。 「日傘、持ってくれば良かったかな」 小さく呟いて手を太陽にかざし、15という年齢の割にはまだ幼さの残る顔を庇う。 と、そこに涼やかな風が吹いてきた。肩まで切伸ばされた柔らかな茶色の髪が、ふわりと舞い上がる。 市街の西部に広がる森林公園からの風だった。 腕時計に空色の目を向けると、時間はまだ10時を回ったばかり。 アルバイト先の喫茶店の開店時間にはまだ時間がある。 「あ~あ、ついてないなあ」 ソラはガックリと肩を落とす。 友達は皆この日を空け、遊びに行って誰もいない。 思い出せば、返す返すも後悔ばかり。 今朝の寮でもそうだった。 自室の前で、この日のためにと目いっぱいめかしこんだ親友二人を目の前にして、ソラは痛く落ち込んだ。 二人とも彼女を置いて人気バンドの記念ライブステージに行ってしまうのだという。 ふてくされるソラを前に、同じ寮に住む親友二人はやれやれという感じだ。 「え~!?シーちゃんハーちゃんもみんな行っちゃうの?」 「しょうがないじゃない。ソラはバイト入れちゃったんだし」 「今月厳しいんでしょ、ソラ」 「それはそうだけど……。だって皆行っちゃうなんて知らなかったし」 「いっつも買い食いばかりしてるからよ。もうちょっと我慢すればお小遣いに余裕もあって、一緒に行けたのに」 「ねえ」 意気投合する親友二人をソラはつい恨めしそうに見てしまう。 「そんな事言ったってぇ……」 「だからいつも言ってたじゃない。そんなに無駄遣いして大丈夫?って」 「う゛っ……」 「お祭りがあるのは分かってたんだから、出費は抑えておくってのが常識よ」 「そうそう」 「………」 (そういえば今月は二人ともやけに節約してたっけ……) 思い当たったソラは言葉に窮してしまう。 「シーちゃんとハーちゃんの裏切り者ぉ~」 「ダメダメ。そんなフグみたいにふくれても」 「これに懲りて次はちゃんと貯金しておくことよ」 結局二人は「じゃ、私達ソラの分まで楽しんでくるから。じゃあね~~~」と茶化して、出かけてしまった。 かくて一人残されたソラは寂しくバイトに出かけ、今こうして公園のそばまで来ている。 日差しの暑さにに反して、財布の中は涼しい限り。 空を見てもそれは変わらない。 現実は厳しい。 「今月、お小遣い使いすぎちゃったからなあ……。もうちょっとクレープ食べるの抑えればよかった」 ソラは孤児だ。 七年前の大戦で両親を亡くし、幼ない頃を孤児院で過ごした。 今は寄宿学校であるアスハ記念女学校へと移り、戦災孤児を対象とした国の援助金で生活している。 オーブではソラのような境遇の少年少女は珍しくない。 片親というだけででもいればマシな方だ。 両親がいない寂しさは良く知っている。 でも同時に周囲の人の温かさに包まれてソラは生きてきた。 夜、寂しくて寂しくて涙が止まらなかった時、一晩中抱いて暖めてくれた孤児院のシスター。 つらい時、苦しい時、楽しい時。一緒に笑って泣いて来た親友達。 いつも大切な人たちと一緒だった。 みんなが一緒にいるなら、ずっと大丈夫。そうソラは思う。 ……とはいうもの。 「マスターに謝って、私も遊びに行こうかなあ……。でも……」 先立つものがないのは、別の意味でツライ。 財布の中には一、二枚の小額札とコインが少々。 生活費は国から出るが、月々のお小遣いは自分で稼がなくてはならない。 洋服にDVD、携帯電話代や学校帰りに立ち寄るファーストフード店、アイスクリームショップ……etc。 何かと物入りの年頃なのだ。 「はあ~……。後悔してもしょうがないかあー。真面目に仕事しよっと……」 相変わらず日差しはきつい。 バイトの時間までまだ余裕がある。 少しの間、公園で涼をとるぐらいはできそうだ。 そう決めたソラが公園へと足を向けたその時、風に一枚のポスターが舞った。 「あっ」 そこに載っていた若い男女の姿に気付き、ソラは慌ててポスター拾い上げた。 地面の汚れがついてないことに気付き、ほっと胸を撫で下ろす。 描かれていたのは二人の英雄。 過去二度に渡って繰り広げられた世界大戦。 そしてそれに続く昏迷期に、平和と融和の理想を高らかに歌い上げ、今も統一連合の象徴として特別顧問を勤める女神。 <平和の歌姫>ラクス=クライン。 その彼女の理想の下に集った親衛隊ピースガーディアンを率い、数多の戦場で勝利をもたらした最強のMSパイロットにして勇者。 <守護者>キラ=ヤマト。 学校の授業やTVで何度も聞いた英雄譚。 今ではオーブの誰もが二人を敬愛している。 もちろんソラも。 拾ったポスターをどうしようかと思ったが、そのまま放置するわけにもいかない。 ソラはそれを手にしたまま公園に向かった。 ――今の世の中に不満を持つ人はほとんどいません。 皆、にこやかに笑いながら過ごしています。 ちょっとムシャクシャしても、ラクスさまの歌声を聞けば、幸せな気分になれます。 時々、街中で「この世界はおかしい」と叫ぶ人を見かけますが、すぐに警察の方が連れ去って行きます。 何でも、精神を患った可哀相な人なんだそうです―― 公園に足を踏み入れたソラは驚いた。 入り口付近にちょっとした人だかりができていたのだ。 目をこらすと人波の向こう、ちょうど噴水の前あたりに、2人の警官に連行される恰幅のいい初老の男性の姿があった。 周囲の人だかりの中に知り合いの主婦を見つけて、ソラは尋ねた。 「どうしたんですか、おばさん?」 「あらソラちゃん。あのね、あのおじいさんが今日の式典を狙うテロリストかもしれないんだって」 「え!?」 あの老人と言われた老人は、ソラも知った顔だった。 この公園でよく日向ぼっこをし、時々ハトに餌をやっている、そんなどこにでもいる老人だ。 ソラも何度か顔を合わせており、世間話もした事もある。 プラント併合後にオーブへと移り住んだコーディネイターらしい。 声は大きいが穏やかな人だ。 とてもテロリストの様には見えない。 「何でも昔はザフトの軍人で、5年前の戦争ではカガリ様やキラ様のお命を狙った事もあるそうよ」 怖いわねえ、と言い残して主婦は立ち去った。 残ったソラは、何ともなしに離れる事も出来ず、ぼんやりと様子を見ていた。 「ふん、5年も前の作戦に言いがかりをつけ、こんな老いぼれさえ令状無しで拘禁するか!ラクス=クラインも余程に後ろめたいところがあると見えるわ!あの女狐らしい事だな!!平和の使者が聞いて呆れる!!」 不意に、大人しく連行されていくかに見えた老人が、大声を張り上げた。 あからさまな罵声に、周囲の空気が凍る。 「黙れ、このクソじじい!」 人の輪から激昂した学生風の若者が飛び出し、老人を殴りつけた。 呻き声を上げる老人を、さらに数人が地面に引き摺り倒す。 警官が慌てて止めようとするが、たった2人ではとても押さえ切れない。 リンチに参加する人間の数は、あっという間に10人近くまで膨れ上がった。 「ひっ」 呆然と見ていたソラは、老人の頭から流れる血に気づいて悲鳴を上げた。 思わず駆け寄り、老人を蹴ろうとしていた男の背にしがみつく。 「もうやめてください! このままじゃ、おじいさんが死んじゃいます!!」 「邪魔だ!!」 興奮した男は聞き入れず、乱暴にソラを振り払う。 「痛っ!」 倒され尻餅をついたソラの手から、ラクスとキラのポスターが離れて、ひらひらと風に舞った。 ――世界は平和でした。 カガリ様の統治の元、人々は皆幸せでした。 私もそう信じていました。 この日、あの人に出会うまでは―― 風に舞ったポスターは、しばしの浮遊の後に地面へと落ちた。 黒い上下を着てサングラスをかけた、20代前半とおぼしき黒髪の青年の足元に。 当然ながら黒衣の青年は立ち止まり、膝を曲げてポスターを拾う――。 そう思われたが。 だが彼はそのまま、まったくの無造作に、それを踏みつけた。 ラクスとキラが描かれたそれを。 一瞬の沈黙の後、誰かが叫ぶ。 「不敬罪だ!」 青年の行為に気づいた一人の声に、半ば暴徒化していた男達が振り返った。 新たな標的を見つけた彼等は、青年へと詰め寄る。 「貴様、自分が何をしたのか分かって――」 が、言えたのはそこまでだった。 つかみかかったのは最初に老人を殴った学生だが、そのまま垂直に崩れ落ちた。 青年の鮮やかな右フックが、一瞬で学生の意識を刈り取ったのだ。 「なっ!?」 予期せぬ反撃に戸惑う男たちの中に、黒衣の青年は気負いのない足取りで踏み込む。 「くそ……!やっちまえ!!」 「おう!!」 「この野郎!!!」 激情に囚われた暴徒が一気に挑みかかるが……。 桁違いの強さだった。 数の違いなどものともせず、黒衣の青年は無言のまま、あっという間に男達の半数を叩きのめした。 ある者は地面に付して呻き、ある者は仰向けのまま気を失っている。 ついさっきまで威勢の良かった暴徒達は、もはやその場を去るか、遠巻きにして事の成り行きを見守るしかなかった。 突然の乱闘。 そして終結。 呆気に取られていたソラは、ようやく解放された老人の呻きで我に帰る。 「ううう……」 「だ、大丈夫ですか?お爺さん」 しゃがみ込んで老人を助け起こした時、ソラは背後に気配を感じた。 いつのまにか黒衣の青年が二人のそばに立っていた。 サングラスを外しその下に隠されていた真紅の双眸で、ソラと老人を見下ろしていた。 老人が小さく息を呑む。 一瞬の後、青年は踵を返して何事もなかったかのような足取りで公園を後にする。 「ま、待てっ!そこの男!止まれ!命令だ、聞こえないのか!!」 「こ、こちら215号車!本部応答せよ……」 ようやく我に戻った警官のうち1人が青年を追い、現場に残った1人が無線機に増援を求める。 誰も聞かない、その老人の呟きを聞いたのはソラ1人だった。 「シン=アスカ……生きていたのか?」 「――シン……、アスカ……?」 ――シン=アスカ。 何の疑問も持たなかった私の平凡な生活は、この時、終わりを迎えました―― ――――――――――――――――――――――――――― このSSは原案文第一話Aパート前編(DC私案)を再編集、一部加筆したものです
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願い事1つだけ ◆jnvLTxNrNA 『死は絶対で、安易に打ち消されるようなものであってはならない』 【~prologue~】 「ふぅ~」 部室棟横の記念樹の下で私は完成した二朱公人の墓を見つめて、1人ため息をついた。 墓としてはかなり粗末なものだがそれは仕方ない。目を閉じて二朱に黙祷して冥福を祈ると同時に謝罪をする。 私は二朱の願いを果たすことができなかった。 芳槻さらは死んでしまったのだ。 私はレッドを追わなかった。否、追えなかった。 気絶した夏目准を1人置き去りにするわけにはいかなかったからだ。 仕方なく夏目を記念樹横の部室棟の野球部の部室に寝かせ、墓穴掘りを再開することにした。 そしてレッドが去ってから数分後、放送で芳槻さらの名が呼ばれた。 レッドが殺したのか、それとも十波典明が接触した時点で手遅れだったのかはわからないが、事実として芳槻さらは死んでしまった。 事実として二朱と夏目、それから十波の願いは叶わなかった。 いくら悔やんでも悔やみきれないだろう。 しかし、だからこそ『死は絶対で、安易に打ち消されるようなものであってはならない』というのが私の持論だ。 『死は絶対で、安易に打ち消されるようなものであってはならない』からこそ、死は悔しくて、やるせないのだ。 『殺し合いの優勝に見合う『賞品』として、特別に願いを一つだけ叶えてあげるでやんすよ。 例え願いの内容が巨万の富でも、巨大な力でも、永遠の命でも、自分自身の国でも、何でも叶えてあげるでやんす』 亀田は死者の蘇生も可能なのかもしれない。 なにしろ亀田は『永遠の命』を叶えられるらしいのだ。死者を蘇らせることなどわけないだろう。 ハッタリの可能性もあるが亀田の持つ技術力を考えるとハッタリに聞こえない。 今考えると、私はあの処刑場で一度死んでいて、蘇生された後この殺し合いの放り込まれたのかもしれない。 まぁ、蘇生した人間を殺し合いに放り込む意味がわからないが…… はっきり言ってこの可能性が本当であるとは考えたくない。 何度でも言う、『死は絶対で、安易に打ち消されるようなものであってはならない』のだ。 安易に打ち消されないから人は死を恐れ、生きようとする。 死は絶望であり、生きることは死に対をなす希望なのだ。 もし、亀田が死者を蘇らせる力を持っていれば、死は絶望でなくなることになり、同時に生きることが希望でなくなることになる。 そんなことはあってはならない。この世界には希望が必要なのだ。 しかし…… 視線を二朱の墓から部室棟に移す。 『殺し合いの優勝に見合う『賞品』として、特別に願いを一つだけ叶えてあげるでやんすよ。 例え願いの内容が巨万の富でも、巨大な力でも、永遠の命でも、自分自身の国でも、何でも叶えてあげるでやんす』 この言葉に希望を求めるならそれもありなのかもしれない。 希望の形など人それぞれなのだから…… ◆ ◆ ◆ ◆ 墓を作り終え、空き部室に戻ると夏目が目覚めていた。 「芳槻さんはどうなりましたか?」 私が夏目の身体を心配する前に夏目の方から私に質問を投げかけた。どうやら放送は聞いてないらしい。 私は1枚の紙を夏目に手渡した。 「これは?」 「夏目が気を失っている間に流れた放送のメモだ。第2回放送までに死んだ全ての人間の名と禁止エリアを書いておいた」 夏目はメモを受け取り、目を通し、そして私の予想通り、動揺を顔に表した。 無理もない。 芳槻さらの死は夏目がこの島で二朱と共にやってきたことが無駄になったことを意味するのだから…… 「夏目、私は言ったはずだ。 死は恐ろしいんだ、絶対なんだ。簡単に怯えを失ってはいけない。死は、恐れるものなんだと。 もう夏目はこれから強くなるしかないんだと。」 「…………」 今回ばかりはダメージが大きいらしい。 夏目はメモを見たまま動けなくなっている。 「……私は校舎から十波が出てこないか見ておく。 十波が出てくるまでにできるだけ気持ちを整理するんだ」 だから私は夏目に時間を与えることにした。 気休めにしかならないだろうが、気休めでも、それで夏目が立ち直れるならそれでいい。 私は夏目に背を向けて、部室棟から出ようとした。 ◆ ◆ ◆ ◆ 【願い事1つだけ~夏目准の場合~】 (なんで…?) 准はヘルガの予想通り動揺した。 (なんで…なんで…?) “ある人物”が死んだからだ。 (なんで…なんで…なんで…?) しかし“ある人物”が誰であるかまではヘルガの予想通りではなかった。 (なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…?) ヘルガの予想は芳槻さら。 しかし、実際は違う。 (なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…?) その“ある人物”の名は…… (なんで、あんたが死んでるのよ!?) “九条英雄” メモに書かれたこの名を見た瞬間、准の視界は真っ暗になった。 (九条さんが死んだら維織さんはどうなるのよ!?) 准の大切な親友、野崎維織の大切な人。 維織は九条と出会ってから本当にいろんな顔をするようになったと准は思う。 准の知ってる中であれほどお似合いなカップルはいない。 その大切な親友の大切な人が死んだ。 そして…… (九条さんが死んだら私はどうなるのよ!?) 准も少なからず想いを寄せた人が死んだ。 (嫌だ……) もう二度とあの日常には戻れない。 あの喫茶店での日常には、准が九条をからかい、九条がそれにツッコミを入れ、維織がその傍らで本を読むという日常には二度と戻れない。 (こんなの嫌だよ……) 『殺し合いの優勝に見合う『賞品』として、特別に願いを一つだけ叶えてあげるでやんすよ。 例え願いの内容が巨万の富でも、巨大な力でも、永遠の命でも、自分自身の国でも、何でも叶えてあげるでやんす』 准の脳裏にふと亀田の言葉がよぎる。 (そうだ…!この殺し合いに優勝して九条さんを生き返らせてもらえれば…!) それは甘い誘惑。 (あの眼鏡に頭を下げるのは癪だけど、あの日常を取り戻せるなら…!) その誘惑に心が揺れる。 あの日常を取り戻せるなら、あの日常を取り戻せる方法があるならそれにすがりたい。 たとえそれが人殺しという許されざる方法だとしても。 それほどまでに准にとっては愛おしい日常なのだ。 (なんてね。そんなことできるわけないじゃない……) でも准はわかっていた。そんな方法で九条を生き返らせたとしても、九条も維織も喜んでくれないであろうことを。 (遠前町に帰ったら、まず維織さんに謝ろう。九条さんと一緒に帰ってこれなくてごめんって謝ろう。 維織さん、絶対悲しむよね……) だから強くなろうと准は決心する。 九条の死という悲劇からから立ち直れる程に。 大切な親友、維織を悲しみから守れる程に。 そう決心すると真っ暗だった准の視界に光が射した。 ◆ ◆ ◆ ◆ 【願い事1つだけ~十波典明の場合~】 さらは死んだ。 同じ親切高校の神条紫杏にライフルで撃たれた。 さらを撃った紫杏も許せなかったが、二度もさらを助けることができず、二度もさらを死なせてしまった自分自身が何よりも許せなかった。 できるならいつもの夢だと思いたい。 いつもの夢よりちょっと質が悪いだけだと思いたい。 でも、さっきの放送と握ったさらの手がどんどん冷たくなっていくリアルな感覚が、俺にこれが現実であることを突きつけてくる。 俺は空を見上げた。屋上に出たときと変わらない青空。でもさっきまでの気持ちよさではなく、今はただ虚しさを感じる。 『私は十波君を……信じます』 『……十波…君……大……好……き……』 さらの最期の言葉が頭に響く。 誰も信じられないと言ったあの時と違って、俺を信じると言ってくれた。 俺の告白に大好きだと答えてくれた。 そういう意味では、俺はさらを変えることができたのかもしれない。 でも……救うことはできなかった。 さらにはこれから先、ずっと俺の隣を歩いて欲しかった…… なぁ、さら…… 俺がもっと早くさらの所に駆けつけていたらこの結末は違ったのか? この青空も、この屋上から見える景色も違って見えたのか? さらがまたいなくなって、俺はまたひとりぼっちだよ…… 天道を倒して甲子園に行ったこと、岡田を倒して日本一になったこと、プロ野球選手になったこと、 他にもさらがいなくなってからも嬉しいことや楽しいことはいっぱいあった。 でも、さらが隣にいないとそんな嬉しいことや楽しいことも、どこか虚しいんだ。 嬉しいことや楽しいことはさらと分かちあわないとその喜びは半分になってしまうんだ。 さらを変えるなんてこと言っときながら、変わったのは俺の方がだったのかもしれない。 いや、変わったんだ。俺はさらが好きになったから。 さらしか信じることができなくなったから。 さら以外の全てを信じられなくなったから。 結局この世界で信じられるのはさらだけだったんだ。 こんな世界に、さらのいない世界に、信じるもののない世界に俺の生きる意味はあるか? 俺にはわからないんだ。 なぁ、さら。教えてくれよ。 俺はこれからどうやって生きていけばいい? 何を理由に生きていけばいい? 『殺し合いの優勝に見合う『賞品』として、特別に願いを一つだけ叶えてあげるでやんすよ。 例え願いの内容が巨万の富でも、巨大な力でも、永遠の命でも、自分自身の国でも、何でも叶えてあげるでやんす』 突然、俺の頭にあの荷田くんみたいな奴の言葉が響いた。 俺は気づく。そう、そうだよ。この殺し合いに優勝すればいいんだ! 優勝してさらを生き返らせてもらえばいいんだ! あの荷田くんみたいな奴は願いを1つ、何でも叶えてくれるって言ってたじゃないか! 悪魔の囁きってのはこういうのを言うんだろうな…… でもそれでさらが帰ってくるなら…… あの荷田くんみたいな奴にお願いするのはちょっとムカつくけど、それでさらが帰ってくるなら…… 進む道が人殺しという修羅の道でも、それでさらが帰ってくるなら…… 俺は鬼にでも、悪魔にでも、何にでもなって………! なれるわけないよな……さら…… どこか満たされたようなさらの顔を見て俺は先程までのバカな考えを捨てた。 さらは最期の最期で他人を信じることができるようになった。一歩前に進んだ。 なら、彼氏の俺が何時までも過去にすがって立ち止まってちゃいけないよな。 過去を振り返ることは悪いことじゃない。でも、すがっちゃいけないんだ。 過去は過去として受け入れて俺は前に進まないといけないんだ。 殺し合いに優勝してさらを生き返らせようなんて、思いっきり過去に後退する行為だ。 その根源には『あの頃に戻りたい』という念があるからだ。 それに俺はさらと約束したじゃないか。 俺は野球を頑張るって、それでさらは俺のことを応援するって最期に約束したじゃないか。 その約束を果たすためにも、さらに相応しい彼氏であるためにも、俺は前に進む。進み続ける。 まずは他人を信じてみよう。その人達とこの殺し合いをぶっ壊そう。 そんでもってあの荷田くんみたいな奴を倒して、この馬鹿げた島から出る。 もとの生活に帰ったら野球を頑張る。いろんな所に行く。いろんなものを見る。いろんな人に出会う。いろんな話を聞く。 さらが見聞きできなかったことまで俺が見て聞く。 そして俺がおじいちゃんになってあの世に行ったら、あの世でさらと再会する。 さらと再会したらそれまで見聞きしたことを全部さらに話す。 うん、我ながら見事な将来設計図だ。 「よし、そうと決まれば前に踏み出そうか」 俺は声に出して自分に言い聞かせるとさらのデイパックの中身を自分のデイパックに詰め込み、 さらの頭からリボン解いて、それを自分の左腕に巻きつけた。 まぁ、リボンは形見ってやつかな。過去に戻りたいってわけじゃないけど、でも何時でもさらを傍に感じていたいんだ。 次に傍らに転がっていた機関銃を回収する。 殺しはもうしたくないけど、相手が殺る気なら仕方ない。俺はさらの分も生きないといけないからな。 できればこの引き金を引くことがないようにと祈りながら俺は機関銃の持ち手を握る。 最後にさらを背中に担ぐ。下ではヘルガさんと夏目さんがお墓を掘っているはずだから一緒に埋葬してもらおう。 (ヘルガさんたちに謝らなきゃなぁ……) そんなことを考えながら俺は前に歩き始めた。 ◆ ◆ ◆ ◆ 「やっぱり、ダメだった、か……」 光を取り戻した准の視界に飛び込んできたのは、 頭部を原形がわからないほどまで破壊されて、足元に倒れ伏せたヘルガと血まみれのスパナ、 それを握る自分の手、返り血で赤く汚れたメイド服だった。 「はぁ~、これじゃ維織さんやあいつに会わす顔がないなぁ……でも私が優勝すれば……」 維織と九条の日常は取り戻せる。そこに准の姿はなくても構わない、と准は思った。 維織と九条が喜んでくれなくても構わない。准は維織の悲しむ顔が見たくない、と思った。 こんなことをして維織が悲しまないわけがないことはわかっている。 でもその悲しみの穴は九条が埋めてくれる、と思った。 でも…… 「九条さんがいなくなってできた維織さんの悲しみの穴は、大きすぎて私には埋められないよ…… それに、維織さんの傍に九条さんがいないなんて想像できないよ……」 できるならあの3人の日常に戻りたい。でもそれは叶わぬ願いなのだ。 だが維織と九条の2人の日常を取り戻す、という叶えられる願いもある。 だから准は強くなろうと決心する。 せめて叶えられる願いだけでも叶えられる程に。 せめてこの殺し合いに優勝できる程に。 准は荷物をまとめて学校を後にした。 (こんなことはきっと間違ってるんだろうなぁ) 維織を悲しませることに戸惑いを感じていないわけじゃない。 このメイド服を血で汚すことがどういうことかもわかっている。 (でもこの足は、もう止まらない……!) ◆ ◆ ◆ ◆ 俺がグラウンドに出るとヘルガさんも夏目さんもいなかった。 ただ完成した二朱さんっていう人のお墓だけがあった。 「スコップがないんじゃさらのお墓が作れないじゃないか」 俺はそんなことを愚痴りながらさらを記念樹にもたれかけさせた。 わかってる。俺はヘルガさんたちとの約束を破ったんだ。 下手すると俺のことをさらを殺した殺人鬼と思ってるかもしれない。 殺人鬼から逃げるのは当たり前だ。だからヘルガさんたちはもう学校にいない。 でも俺はそれでいいと思う。事実、俺はさらを救えなかったのだから。 確かに俺は前に進むと決めた。だけど、だからといってさらを救えなかった罪が消えたわけじゃない。 さらは許してくれるだろうけど、俺自身が許せない。 この罪は俺が一生背負っていくことになるものだ。 だけど俺は前に進むと決めた。この消せない罪を全部背負って前に進むと決めた。 その先にはさらがいるから。 俺はさらと二朱さんっていう人に黙祷した。 さらには、すぐには会えないけどいつか必ず会いに行く。だから待っていてくれという願いを。 二朱さんは生前ヘルガさんや夏目さんとさらを助けようと行動していたらしい。 だから二朱さんには、そのこと対する感謝とさらを救えなかったことに対する謝罪を、それぞれ黙祷で伝えた。 「さぁ、行くか!」 手始めに、この殺し合いをぶっ壊す。 ◆ ◆ ◆ ◆ 「ふぅ~」 私は視線を部室棟から再び二朱の墓に移すと二度目となるため息をついた。 完全に油断だった。 夏目があんな暴挙にでる可能性ぐらい容易に予想できたはずなのに、あの時私はその可能性を失念していた。 後ろで夏目が立ち上がる音がしたので、もう立ち直ったのかと思い振り向いた。 しかし私の目に映ったのは立ち直った夏目ではなく、目の前にまで迫ったスパナだった。 もはや回避は不可能だった。私はその痛烈な一撃をまともに受けて、意識を失ってしまった。 そして、次に気がつくと私の足元には私自身の死体があった。 二朱はきっと夏目がこんな暴挙を起こして何も思わないはずはないだろう。きっと止めようとしたはずだろう。 私はもう一度目を閉じて二朱に謝罪する。夏目を止められなくてすまなかった、と。 隣では十波が私と同じように黙祷をしている。 その左腕には芳槻のものと思わしきリボンが巻き付けてある。 この男は本当に芳槻のことを大切に想っていたんだなと思う。 黙祷を終えると十波は学校から出て行った。その顔は希望に輝いてるように見えた。 私はその顔見て、この世界もまだ捨てた物じゃないと思った。 この世界にはまだ希望が残っているとわかったから。 さぁ、そろそろ行こうか、地獄とやらに…… 【ヘルガ@パワプロクンポケット6裏 死亡】 【残り33名】 【夏目准@パワプロクンポケット9】 [状態] 腹部に刺傷(立ち上がれる程度には回復)、深い悲しみ [装備] スパナ、モデルガン [道具] 支給品一式×3、スコップ、拡声器、ナイフ、ラッキョウ一瓶、不明支給品0~4個 [思考・状況] 1:九条さんを生き返らせる 2:レッドに対して不信感 3:二朱さん…… 【十波典明@パワプロクンポケット10】 [状態] 「人を信じる」という感情の復活 右上腕に怪我 [装備] 機関銃 [道具] 支給品一式×2、バタフライナイフ、青酸カリ、スペツナズ・ナイフ [思考・状況]基本:この殺し合いをぶっ壊す! [備考] 1:さらルート攻略中に他の彼女ルートにも手を出していた可能性があります。 2:たかゆきをタケミの作ったロボットだと思っています。 3:タケミを触手を出す事の出来る生き物で、殺し合いに乗っていると思っています。 4:高坂茜とメカ亀田の名前を知りません。 5:ヘルガの死に気づいてません。 投下順に読む 095 未来の束縛← 戻る →097 彼女の決意とイタチの気まぐれ 時系列順に読む 095 未来の束縛← 戻る →097 彼女の決意とイタチの気まぐれ 前へ キャラ追跡表 次へ 094 彼は彼なりの正義を 十波典明 093 迷走ヒーロー 夏目准 093 迷走ヒーロー ヘルガ GAME OVER
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平和堂甲西店3F メルヘンランド 住所 滋賀県湖南市岩根867-5 店内3F 最寄り駅 甲西駅 営業時間 最終確認日 2014/06/17 設置機種 ターミネーターサルベーション 友情装着!ブットバースト その他(メンテ等) ターミネーターは1プレイ100円 照準は良好。EXPERTモード選択可能
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青年は少女と出会った。 一時の出会い……二人は、そう思っていた。 そう、これはただ一時の出会い。再会を約束出来る、ただの出会い。 -願い事、ひとつ- 「娘と話をしたそうだね」 夕食後、笑顔と髭が印象的な、初老の男性が彼に話しかけてくる。 この老人こそ、今回の仕事の依頼主であり屋敷の主。ホープの義父だ。 彼は先日挨拶を済ませているが、その容姿に合った穏やかな人物だというのが第一印象。 「はい。可愛らしいお嬢様ですね」 「ああ、私(わたし)には勿体ないほどに、な」 「そんな事はありません。貴方も立派な方ですから」 「そうか……娘の事は聞いているんだったな」 「はい。確か人形、と」 正直、まだ信じ切れていない事実。 姿形は人と変わらぬ……いや、元々人形は人を模したものだ。その言い方はおかしいかも知れない。 だが、彼はあの花を手渡すときに感じていた。彼女には温もりも、心もある。それは人形という器ではなく、人と変わらぬもの。 ……何故か、彼の頭にはホープの顔が、あの悲しげな表情が離れない。 「老い先短い男の元に何故来たのか、私には分からん。だが、妻が生きていたら喜んでいただろうなぁ」 「病気ですか?」 「昔から病持ちでね。子供を妊る事も出来ず、逝ってしまったよ……ん、すまない、こんな話を。どうも年を食うと自分語りを したがってしまう。もっと明るい話をしなくてはな」 その言葉に苦笑いを浮かべる彼。当然だが、彼はこの手の暗い話が苦手だ。 そのとき、主人の背後からホープの姿が見える。 「あの……」 「ん、どうしたんだいホープ?」 「え、何を話しているのか気になって……その」 横から口を挟んだ事を気にしているのか、どこか落ち着かない様子を見せる。 しかしそれとは対照的に、主人は笑顔でホープの頭を撫でる。 「彼に少し話を聞いて貰っていただけだよ」 「そうですか……えっと、あの……」 「彼と話がしたいのかい?」 遠慮がちに頷くホープ。すでに顔を見るだけで分かってしまう、義理とはいえさすが親子といったところか。 「構わんよ。私もそろそろ部屋に戻らなければならないしな……それじゃあ、しばらく娘の相手をお願いして良いかな?」 「はい、喜んで」 二つ返事のおまけ付で答える彼。 ホープの顔にも、笑顔はなけれど少しだけ嬉しそうに見える。 「あまり遅くならないようにな。では先に失礼するよ」 「うん。お父様、おやすみなさい」 屋敷の主は、義理の娘でしかも人ですらないホープを、実の娘として可愛がっていた。 彼が招かれたホープの自室も、そんな主の娘を少女として思う気持ちから用意してもらえたのだろう。 室内はホープが来てからわざわざ改装したのか、古びた屋敷に似合わぬ美麗さを誇っている。 一人娘の部屋としては広すぎる。庶民である彼は、心の中で呟いてしまうほどに。 「その、考えてみたんですけど……」 テーブルを挟み、向かい合わせで椅子に座る彼とホープ。 ホープは目の前にいる彼の顔を伺いながら、出会ったときに見せたあの花をテーブルに置いた。 「こんな大きな花が貴方のポケットに入るには、折りたたまなくちゃいけないと思うんです」 「まぁ、確かに」 まさか、あの手品の事を今まで真剣に考えていたのか……。 胸の内の彼が苦笑を浮かべる。 「でも花をたたんだらやっぱダメですよね。二つに折れちゃいますから……でも小さくする方法なんてそれしかないし……んー」 そしていきなり考え込む。 「あ、あのぉ……」 「え、あぁ、もう少しだけ待って下さい……自分でちゃんと考えないと……うーん」 「その、えー……分からない事を無理に解決しなくてもいいと思うけどなぁ。謎があった方が、世の中楽しいよ?」 「でも……その、やっぱり私も……やって、みたい……ので」 これが分からなくてはきっと彼と同じような事は出来ない。そう思っているのだろう。 探求に探求を重ねる事は悪い事ではない。 こうして見せた相手が悩んでいるという事は、自分の芸が楽しんで貰えたという事にもなる。彼としても喜ばしい事だ。 そして何より、一輪の花を前に悩むホープの姿が、やけに微笑ましかった。 初めて見たあの悲しげな面影。彼のホープに対する儚げなイメージも、こんな姿を見ては忘れてしまいそうになる。 「そうかー……分かった。じゃあ俺が子供の時に遊びでやってた奴、教えてあげるよ」 「え……でも、お仕事の事は……」 「いいんだよ。こういう事に興味を持ってもらえるのは嬉しいし。花の方はさすがに内緒だけどね」 「……女性には、いつもあのような挨拶を?」 「いやいや、そういう訳じゃなくて……まぁいいや。それじゃあ早速やってみようか」 ◆ 両腕の袖をまくり上げ、手の表裏をまずホープに見せる。 「この通り、何にもないただの手です。ですが、あなたと手を合わせるとたちまち不思議な事が起ります。では、こちらに手を 差し出してもらえますか?」 仕事口調の彼に戸惑いながらも、両手を彼に向けて差し出すホープ。 小さなホープの手。その上に、彼の手が重なる。 「それでは、少しの間だけ目を瞑っていて下さい。私がこれから3カウントをしますので、それが終わったら目を開けて下さい」 「はい……これで、いいですか?」 「ありがとうございます。それでは……ワン、ツー、スリー!」 「……ん」 「……あの、もう目を開けていいですよ?」 「はい……あれ?」 彼の手のひらには、先ほどまでは全く存在していなかった1枚のコイン。 ホープが目を瞑っている間、彼の手は全く動いていない。それはずっと手が触れ合っていたホープ自身が一番よく分かっている。 だが、何も動作のなかった手には1枚のコイン。 挨拶の時に浮かんだ疑問が、再び沸き上がる。何度も首をかしげてみるが、手が動いた形跡は全く見あたらない。 最初から手に仕込んでいたという可能性は全くない……ホープには、その疑問を解決する手段が見つからなかった。 そんな彼女を見て、彼は軽く微笑みを浮かべる。 「驚いた?」 「は、はい……その、これを教えてくれるんですか?」 「うん」 何もないところから物を出す。 そんな事が自分に出来るのかと、ホープが不安げな表情を浮かべる。 「大丈夫、簡単な事なんだ。じゃあもう一回目を瞑って、ちょっと準備するから」 軽く頷き、彼の言う通りに目を瞑る。 「もういいよ。じゃあ今度は目を開けたままやってみるから……下らない事だって、怒らないでね」 苦笑を浮かべながら、再び同じようにホープの手に自分の手を重ねる。 一体どんな事をしたのだろうか……今までにはなかった期待が、彼女の胸にこみ上げる。 「じゃあさっきと同じように……ワン、ツー、スリー!」 ……軽く揺れた彼の頭から、コインが落ちてきた。 「え……これだけ?」 「そ、これだけ。がっかりさせちゃった?」 「……え?」 先ほどまで何故自分は悩んでいたのか、そちらの方が疑問に思えるほどの真実。 コインは頭に乗せてあっただけで、それを手に移しただけ。 「こういうのって、大体種明かしすると面白く無くなっちゃうんだよね。大体の手品って、こういうものだから」 「はぁ……あの花も、そうなのですか?」 「まぁね。でも花の奴はこれよりずっと大変なんだよ?」 「そう、ですよね。確かにこれなら私にも……」 そこまで呟いて思った。頭に乗せたコインを、自分は手のひらに乗せる事が出来るのかと。 こんな器用な事を子供の頃からやっていたという彼。 「すごい、ですね」 「え?」 「……あんなに上手く、コインを乗せられるから。やはり、たくさん練習したのですか?」 「まぁね。こんな事を必死に練習してたなんて、ちょっとアホらしいけど。でもそんなアホらしいことでも、誰かを驚かせたり 楽しませたり出来るなら、少しは必死になってみてもいいかなって思うんだ」 彼のやってきた事は、全て練習の賜物。 彼は魔法使いでも精霊でもない、何もないところから物を出現させる事を、努力でやれるようにした。 ただ、誰かを驚かせたり楽しませるために。 ――すごい。彼女は素直にそう思った。 「練習すれば、出来るんですね?」 「うん」 「……コツとか、ありますか?」 彼ほど上手くできなくても良かった。 ただ、自分も大切な人を笑わせてみたい……それだけだ。 「コツかぁ。俺自身もう感覚でやってるから、ちょっと分からないかも」 「そうですか……」 「あぁ、でもあまり強く振りすぎないようにするべきだと思うよ。手は動かせないからね」 ――こんな風に教えるのは初めてだ。 終始彼は、そんな事を呟く。 そして、彼にとって初めての手品指導が終わるのは、執事が様子を見に来た頃だった。 ◆ 主の誕生パーティは、静かに執り行なわれていた。 来賓らしい人はなく、娘であるホープと数人の使用人達のみの宴。 貴族のパーティと言われて、もっと大勢の前でやるのかと緊張していた彼にとって、少しだけ拍子抜けする事実。 だが、それでも皆煌びやかな装いで、尚かつ暖かい空気に包まれた主の部屋。 ここは見栄の存在しない、まるで狭い一軒家に集う大家族のような雰囲気。 そんな空気の中に、自分は受け入れてもらえるだろうか……。 「この度お招き頂き、誠にありがとうございます。今宵は皆様に必ず笑顔を届けるので、是非ご覧下さい」 敬語の苦手な彼が四苦八苦の末考えた挨拶。 きっとおかしい事だらけだろうが気にしない。彼の勝負はこれからなのだ。 ホープに教えたアホらしい真実。 その中でもとりわけすごい、アホくさい練習の成果を、ここで。 ◆ 夢のような時間。 言葉にすれば短く、またそれを感じる時間も短い。 それでも、今この場はその言葉にふさわしいものだった。 笑顔の満ちあふれる宴の場。 その中央で、彼らに笑顔を振りまく彼。 ホープの目には、それが夢を作る魔法使いのようにも見えてしまう。 手先の技術を高めて生み出された芸の数々。 それが、人々に笑顔を与えている。 ……素晴らしい、魔法。 「いやぁ、本当に素晴らしい。面白い青年だ」 主……かけがえのない人が、笑っている。 彼が、笑顔を与えてくれた。 自分はどうだろう……。 「……可愛い笑顔だ」 微笑み、そう呟く主。 ホープは、笑っていた。彼の魔法で。 「今日は、本当に素晴らしい日だ。神様は私に、こんな素晴らしい贈り物を授けてくれたのだから」 彼女の頭に、手を伸ばす。 空のように青い髪を、優しく撫でる。 「ありがとう」 小さく呟いた、礼の言葉。 ……自然と、涙が溢れた。 ホープの涙に、一時は騒然とした誕生パーティ。 「一瞬失敗したのかと思った」 彼が、苦笑混じりに呟く。 夜のバルコニーでホープと二人……彼女に連れ出された、ただそれだけの事。 「ごめんなさい。でも、本当にすごかったです、ポケットからお城を出すぐらいに」 「ありがとう。じゃあ今度はお城を出すのも考えておくかな」 「それが出来たら、いつでも王様になれますね」 二人で笑い合う。 初めて、自然と浮かべる事の出来た笑顔。 「ありがとうございます。貴方のおかげで、なんだか心が楽になって……」 「……そっか」 彼はただ、ホープに笑みを向ける。 一仕事やり終えた、そんな笑顔。 「でも、これでお仕事は終わりなんですね……なんだか、寂しいです」 「また呼んでくれたら、いつでも駆けつけるよ。そういう仕事なんだから……それに」 何も持っていなかった手のひらに、コインが一枚姿を現す。 あのときの練習に使ったものだ。 「俺の初めての教え子なんだ、これで終わりなんかじゃない」 彼女の前に、コインを差し出す。 「またいつか、新しい手品を教えるよ」 少し不思議な、再会の約束。 ホープにはそれで良かった。 それだけで、また笑顔が浮かべられるから。 また、涙が溢れてしまうから……。 続
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基本 腕組み 腕組み2 腕組み3 胴上げ あなたの側にいる弁護士がいます 生き埋め 散歩 遊具 監視業務 監視業務2 テレビ 洗脳 監視業務・トイレ 大量開示祭 原住民レイプ おやすみー 開示兄弟 風呂桶 監視業務・トイレ2 鏡の中 強制脱糞 テレビ・振り向き 巨大 kaizi!! 踏み付け ホモスレやんけ シザーマン 狙撃 逮捕 腕組み4 バイク 猫 横断幕 七夕 ひな祭り 励まし フライパン 写真 ガッツポーズ すり足 脱糞 マッチョ ネット 基本 ( (c :; ]ミ( c :; ]ミ( Dc X; ]ミ 腕組み n n (ヨ ) ( E) / | | ヽ \ \/^^彡(゚)(゚)/( (c :; ]ミヽ/ / \(uu / uu)/ | ∧ / 腕組み2 n n (ヨ ) ( E) / | | ヽ \ \/^^彡(゚)(゚)/( (c :; ]ミヽ/ / \(uu=二フ / uu)/ | ∧ / 腕組み3 n ( E) ;;;;;;;;; | ヽ \/^ /( (c :; ]ミヽ/ / \(uu=二フ / uu)/ | ∧ / 胴上げ ( (c :; ]ミ)つ⌒つ~ ,; ヽつ__つ + + + ; + わっしょい + ; ;. + ; わっしょい わっしょい + ; ;. + ; わっしょい わっしょい + ; ;. + ; わっしょい わっしょい + ; ;. + ; わっしょい 彡(゚)(゚)∩∩彡(゚)(゚)∩∩彡(゚)(゚) (つ ノ ヽ ノ ヽ ⊂ ) ~| ) ) / ヽ (( |~ ∪∪ ∪⌒∪ ∪∪ あなたの側にいる弁護士がいます __人_人,_从人_.人_从._,人_人_从.人_从 )あなたの側にいる弁護士がいます ( ) あなたの側にいる弁護士がいます( )あなたの側にいる弁護士がいます そ ろ あなたの側にいる弁護士がいます( )/⌒Y⌒Y⌒l/⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒ ( (c :; ]ミ / ヽ || || し| i |J=二フ | | ノ し'し' 生き埋め ( (c :; ]ミ ザック (つD―○|> ザック ( ヽノ し(_)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\彡(゚)(゚)/ ̄ ̄ ̄ ̄ ⌒⌒⌒⌒ 散歩 ,,..-―^―-..,, /+ + + + + \ /*※*※*※*※*ヽ .'⌒'⌒'⌒ii⌒'⌒'⌒'^ || 彡(゚)(゚) ||'~ヽ_,(~ヽ) i~ミ〉 ,,,),,| | \ し'ゞ,, ,, ,/し' \ ,r' ~ ~ヾ~ヽ \ / ,; ,; ヾλ ( (c :; ]ミ / ,; ,; ,ハ ヽヽ UU UU 遊具 . パカパカパカパカパカパカパカパカ ( (c :; ]ミ =つ≡つ (っ ≡つ=つ / . ) ( / ̄∪ _.__ ♪ _| |_ | |Θ| ♪ | ̄ ̄ ̄| ̄ ̄|_ | |30| ∩彡(゚)(゚) │ ...| | | . |_|万| | i |___|__|_| |_| しーJ 監視業務 .|\ . | \ . | \ . |. | \ ___彡(-)(-). |. | | | __ 彡 と ̄ ̄|. |( (c :|; ]ミ.| |\⌒⌒⌒⌒⌒⌒\ \. |ヽ .| \ \ \ \ | .| .| \ \ \ \| .| \ \|⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒| \| \ |_______| 監視業務2 .|\ . | \ . | \ . |. | \ ___彡(-)(-). |. | | | __ 彡 と ̄ ̄|. |( (c :|; ]ミ.| |\⌒⌒⌒⌒⌒⌒\ \. |ヽ .| \ \ ( (c :|; ]ミ \ \ | .| .| \ \ \ \| .| \ \|⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒| \| \ |_______| テレビ _____________ /|:: ┌──────┐ ::| /. |:: |( (c :; ]ミ | ::| |.... |:: | ( (c :; ]ミ | ::| |.... |:: | ( (c :; ]ミ | ::| |.... |:: └──( (c :; ]ミ-┘::| \_| ┌─( (c :; ]ミ .|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄( (c :; ]ミ ̄ ( _)ミ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄旦 ̄(_, ) / \ ` | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|、_)  ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| 洗脳 ( (c :; ]ミ ♪!! ♪!! / \ _ \ | | / | | | \ |■| 【彡(。)(゚)】 <ヤッパリソンシガナンバーワン | | /⌒|⌒|ヽ二二つ|◎| ノ (======と <ヤッパリソンシガナンバーワン ヽ二二Ο./ ー―――´ `u-u' (_| |_| |_ | | .(__)__) .| | 監視業務・トイレ ( (c :; ]ミ /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ | | 彡(゚)(゚) | /⌒ヽ彡 と |. { (⊃ と) ___ | ヽ (_ _⌒).) 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( (c :; ]ミ. | l ` ーー -‐''ゝ、,,)) ヽ.ー─'´) ''''''''' 横断幕 ___________ │ | │ コーランは便所紙 | │ |  ̄ ̄ ̄// ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄ ̄ // | | | | ( (c :; ]ミ // \ | 七夕 彡 ミ 彡\/ []彡 ミヽⅡ/彡 § 彡[]\Ⅱ 彡 § ミヽ彡☆. / ミ/ 彡 彡ヽⅡ 彡[]ミ☆ 彡./ .彡 ミ\Ⅱミ彡[] ~♪ Ⅱ (゚)(゚)ミ_ Ⅱ ヽつ ミ_ ~♪ Ⅱ ( )~ ( (c :; ]ミ Ⅱ し`J (__)~ ひな祭り 彡(゚)(゚) 彡 と ( (c :; ]ミ λ∩/ヽ λ∀/ヽ ノ OO /入 ノ OO /') /=彡甲ミ= ハ 《=彡人ミ= ハ [|||||||||||||||||||||] [|||||||||||||||||||||] 励まし . .... .. * 。+ ゚ + ・ . _ 。・ ゚ ・ ミ/ 彡ミ゛ヽ)(m,_)‐-( (c :; ]ミ-、 * / / ヽ、ヽ、 iー-、 .i ゚ + kousinn / /;; ヽ ヽ l ゝ ,n _i l  ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄E_ )__ノ ̄ フライパン ( (c :; ]ミ (;)(;)ミ / o━ヽニニニニニフ)) しー-J 写真 ( (c :; ]ミ パシャッ パシャッ /【◎】 . / /┘ ノ ̄ゝ ガッツポーズ _ / jjjj _ / タ {!!! _ ヽ、 ,/ ノ ~ `、 \ `、 `ヽ. , ‐'` ノ \ `ヽ( (c :;]ミ" .ノ/ `、ヽ. ``Y" r 'ノ 、 `、 無能 ノ `、.` -‐´;`ー イ すり足 ( (c :; ]ミ / \ ((⊂ ) ノ\つ)) (_⌒ヽ ヽ ヘ } ε≡Ξ ノノ `J 脱糞 (ヽ( (c :; ]ミノ) ヽ ̄ l  ̄ ./ (ヽ彡(゚)(゚).ノ) | . . |つ ヽ ̄ l  ̄ ./ (___*__ ) | . . |つ ; 丿 し (___*__ ) ∪ (;;;) ∪ ; 丿 ブチュチュ (;;;)(;;;) ブビョ (;;;) (;;;)(;;;)(;;;) ビュ (;;;)(;;;) (;;;)(;;;)(;;;) マッチョ ( (c :; ]ミ __,,.= '" l . ' '' . ' . . ヘ ,r.''" 、 `' ; . ゙; . . '", ' . . ' ' .`ヽ、 / , ' .. ' '゙ ' 、., レ ' ". ' ' ' . . Y l . ,.' .. .,;' ゙' 、.. .' . . . .. . l 人 '´ `' '⌒ ` . l、..' . . . . . . ./. /, ゙f 'l、.. .. . . /⌒ヽ .,r‐.ィ"´ .i' ,'.,' ゙i、 ;,l、 ,-i' r . . . . .ノ ,イ i . . ⊥ '__ ' `'' ' '"彡} ;' ' . . , ' / y'.ィ'"゙ヘ"  ̄ ''''=-..、∠ニl´‐-〈 . ' . '´ 〃 ,!. .. . '"''X.、 . . . `' .. ` ´ . ' // i' `' .,‐- ..,≧、'' .., . .. -_゙ー - '. ' // ネット \ / _____.. __ | |....____|_ ( (c :; ]ミ | |. | | | ┌/ l . .......|__|._.|_|___.l | | | | ∠二二l┌━━┷┐
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獣耳衆(ケモミミスタ)。 それは、ネコミミとかウサミミとかイヌミミとかそういうのが好きで好きで堪らない馬鹿共が集まり、ケモミミを広めたり愛でたりするために作り上げた学生組織である。少なくとも当人たちにとっては。 彼らのケモミミ活動は多岐にわたり、ある時にはイベントに潜入してケモミミを広め、またある時にはラジオをジャックしてケモミミ愛好番組を流したりと様々だ。 だが、メンバーの誰も彼もがそんな破壊(的に迷惑な)活動に参加しているわけではない。平和に学生しながら関わる者もいるのである。 * * * * 大柄な男が道端で屈んでいる。 学校指定のブレザーが恐ろしく似合っていない彼は、獣耳衆の頭領(リーダー)である黒井錬児。 何やら足元に向かって――というか、足元にいる何かに話しかけている。 「――うむ、そうだ。これを小川原の瞬火に届けろ。場所は分かるな?」 「にゃあ」 そこには一匹の黒い猫。彼はその猫に向けて声をかけている。 そう、ネコミミを魂の底から愛する漢である黒井は学園都市の猫たちの頂点に君臨しており、猫と意思疎通が出来るのである。正確には彼がそう公言しているだけで、実際のところは不明だが。 ちなみにその様子はどう見ても「猫に話しかけている2m近い男」であり、周囲の人々は若干引いている。 「よし、行け!」 「にゃ!」 彼の合図とともに猫は走りだす。首には黒いリボンとそれに付けられた小型の保存装置。学園都市の技術によって極小ながら大容量のデータ保存を可能にしている。 その中には次の『商品』の納付期限、次回の会合の日にちなどのデータが入っており、黒猫はその配達を命じられたのだ。 黒猫はあっという間に細い路地に消えてゆき、それを見届けた黒井はまるで何もなかったかのように平然と歩き去る。 (あんな強面なのに猫が好きなんだ……) ……周囲からの生温い視線を受けながら。 * * * * 「あぁ~やっぱり猫はいいわぁ~。癒されるにゃ~」 コンピュータディスプレイを見つつ、一人の少女がつぶやいていた。 度の強そうなぐるぐる眼鏡に三つ編みの黒い髪と、一見して地味とも思える容貌。 だがよく見れば顔の造作は整っており、眼鏡を外せば美人とも見られるだろう。 彼女、小川原高校附属中学校2年生の瞬火陽子は、猛勉強の疲れを癒すべく自室で猫の画像を眺めていた。 彼女の通う小川原は学力重視の学校であり、当然彼女も勉強に力をいれているのだ。 「はふう、やっぱり猫もネコミミも可愛いにゃ……って、うん?」 そうやって画像を眺めて和んでいること数分、かりかりと部屋の窓をひっかくような音が聞こえる。 加えてにゃあにゃあという鳴き声も。 「あ、そろそろ連絡の時期だったっけ。今開けるからまっててね」 その音を聞いて察したのか、彼女は窓を開けて小さな客を迎え入れる。 窓から入ってきたのは、先ほど黒井の命を受けて送り出された黒猫だ。 「あれ、新顔くんかな。頭領からの連絡を持ってきたんだよね?」 「にゃあ」 「……可愛いにゃ~。頭領の人脈……猫脈?が羨ましいよ」 黒猫の動作に和みながらも慣れた調子で窓を閉め、首の保存装置を取り外す。 そして装置をコンピュータに接続すると、データを検分していく。 「あ、新しいネコミミのデザインできたんだ。えっと、脳波受信装置を小型化したから自由度が増した?すごいなあ」 「うん、新しい材料は次の会合で渡されて、今回作ったのは会合の3日前までに納めるっと。ここはいつも通りね」 と、かまって欲しいのか彼女の足元で黒猫が鳴く。爪を立てずに彼女の足に猫パンチをするおまけ付きだ。 「あ、ごめんごめん。ありがとね、黒猫ちゃん……触っていい?」 「にゃあ」 「あはは、頭領じゃないから分からないよ。でも嫌じゃないみたいだね」 猫じゃらし等の玩具を持ち出したり、喉や背を撫でたりしてしばし和む。 黒猫も心地良さそうに喉を鳴らしている。 「ああ、和むにゃ~」 「ふにゃあ」 結局、黒猫が彼女の部屋から出たのは夜になってからだった。 * * * * 察しの良い方は気づいているだろうが、彼女は獣耳衆のメンバーである。 ただしテロ行為に関しては殆ど知らず、黒井の計らいもあって合法的な仕事のみが割り振られている。 その他の非合法活動を行うメンバーたちも彼女のようなメンバーにはテロ活動等について関わらせないようにしている。 『ケモミミとの付き合い方は人それぞれ』 というのもまた彼らの理念なのだ。 ちなみに彼女の同級の友人には風紀委員がいるのだが、このこともあってか単なるネコミミ好きとしか認識されていないことは幸いといえるだろう。 「それにしても、こんなにいっぱいのネコミミが全部売れてるのかな?ホームページで売ってるのは知ってるけど……」 まあネコミミ可愛いから売れるのかな、と結論をだして明日の授業に備えた予習にとりかかる。 獣耳衆ネコミミ派ネコミミ供給係、瞬火陽子。 彼女の日常は今日も平和である。 ※ネコミミの行き先の一例 「ええい、またあいつらか!」 「ふはははは!獣耳衆頭領兼ネコミミ長、『黒猫』推参!」 「てめえのどこが黒猫だボケェ!いいとこ虎かライオンじゃねえか!」 「何を言うかこの戯けがぁ!虎やライオンの耳は丸いであろうがぁ!あくまでもネコミミの基本は三角形だ阿呆!」 「キレるのそこかよ!しかもマジギレ!?」 「ふん、蒙昧の輩め。黙ってこの美しい三角形のネコミミを受け入れるがいいわ!」 「嫌だっつの!いい年してネコミミなんぞつけたくないわ!てめえこそ今日こそお縄につきやがれ!」 ……知らないほうがいい真実(ゆきさき)もある。 * * * * 『さて、そういうわけで第53回獣耳衆定例会議を始めるとしよう』 『応!』 彼女が大量のネコミミを納入してから5日後。 マンションの一室、学生寮、個室型ネットカフェに路地裏など、様々な場所で声が上がる。 声を上げた彼ら彼女らは一様にケモミミの頭飾りを付けており、携帯型タブレットやコンピュータのディスプレイ、あるいは虚空を見上げて話しだす。 彼らの頭のケモミミには通信機能が付いており、好きな場所に居ながらこういった会議に興じることが可能なのだ。 『うむ、まずは一般ケモミミの納入についてだ』 『はーい!ネコミミの納入は完璧です、頭領!』 『ウサミミもだ』 『イヌミミも納入しました!』 『キツネミミもね』 『ゾウミミもー』 頭領たる黒井の言葉に応じて、各々が報告をする。 ちなみに一般ケモミミというのは、主に『布教用』として使われる特段変わった機能のない只のケモミミだ。 一部はネット販売もしているが、そちらではどちらかというと脳波ケモミミ(脳波に連動して動くケモミミ。大きさに合わせて5000円から)が売れ筋だ。 瞬火が納入したのもこの一般ケモミミであり、この一般ケモミミをベースにして脳波ケモミミや通信ケモミミ(脳波ケモミミに通信機能を付加した物。この会議にも使われており、獣耳衆の標準装備)が作られる。 『うむ、こちらでも確認している。技術班がそのうち4分の1を脳波ケモミミに改造し、在庫に加えた』 脳波ケモミミはよく売れる、と黒井は続ける。 『ふむ、ついでだから現在の組織資金についてだ。まず収入はケモミミグッズ売却で72万5千円、各員からの寄付で52万2千円、それと前回までの繰越が3万4千円。合計128万と千円だ』 『そしてケモミミグッズの材料費で35万円、技術環境の維持で40万円、年少メンバーの生活補助で約45万円の支出があり、しめて約8万円のプラスだな』 彼らは馬鹿な目的のもとに動く組織ではあるが、それでも組織である以上資金は必要だ。 ケモミミ促進用のグッズの開発、イベント調査やラジオをジャックするための技術設備に稲葉のような『置き去り』あがりの年少メンバーの生活費など、求めるものは多い。 ちなみにケモミミは意外に売れているらしい。彼らのケモミミテロの際も、大抵一人か二人はケモミミの魅力にめざめているのだとか。 しかし彼らはあくまでもケモミミ普及組織(自称)であって商売組織ではない。その運営はせいぜい「赤字でなければ良い」程度の考えで行われており、儲けもある程度貯まればパーティなどを開催して消費している。 『ふむ、あとはうちのメールマガジン『獣耳衆のわくわく☆ケモミミマガジン』の登録数が千人を超えたぞ。以後もケモミミ普及に励むとしようではないか』 『了解!』 『では、各々連絡事項・雑談等があれば――』 『それじゃウサミミ長からウサミミ派に連絡を――』 それぞれの連絡事項を伝達して適当に話した後に通信機をオフにしていき、それにより彼らのミミには静寂が戻る。 そして一時の静寂が得られた場所で、彼らは日常を再開する。 「――ふう、私のネコミミも沢山売れてるみたいで嬉しいな」 ネコミミを外した瞬火は、嬉しそうに微笑みながらそう呟く。 なんだかんだで、自分が役に立てるこの組織は彼女にとっても良い居場所となっているようだ。
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1 「あの~?」 シンは途方に暮れていた。目の前には宴会という名の地獄絵図。 普段ここまで酔わない、節度を保つ者も含めて、全て総て酔っ払い。少なくともシンの目には、自分以外のただ一人も、まともな人間がいそうにないのだ。 最初に期待の目を向けた刹那は、早苗をおぶさり『ティエリア! 2期はこのガンダムで行くぞ! 背中のガンダムが本体タムだ!』と訳の分からない事を叫んでいる。早苗はへべれけで上機嫌だ。 次に目を向けたのは、紅魔館の良心、紅美鈴だが、ナイフで木に打ち付けられていたので華麗にスルー。同館メイド長の『この胸がっ! この胸がっ!』と怒鳴りながらナイフを投げる姿も、これまたスルー。幼女に見える鬼に関しては、端からアテにしない。意外と常識人で波長の合う魔理沙は、笑いながら、隣でむきゅーと呻くパチュリーに、酒を浴びせていた。 「何飲んだらこうなる……」 此処まで酒に弱かった覚えはない。一体…… 「ありゃ? そういえば霊の奴何処だ? アリスもいないしなぁ……」 「私が何?」「どうかしたのかしら?」 背後から二人の少女が現れる。 「どぅわぁぁ! 後ろから声掛けんなよ! ビビるし。……どこ行ってたんだ? それとこれどうする?」 「良いわ、放っておいても。どうせ酔いが覚めれば帰るわよ」 霊夢の答えはいつも通りといえばいつも通り、一言でいえば随分と冷めたモノだった。 「でも、こんな皆が酔っ払うなんて珍しいわ。上海も初めて見るでしょうね」 ホーラーイ 「しかしいつ見てもその人形凄いな……」 「アラ? シンのいた外にはもっと大きな人形もあるでしょう? もびるすーつだったかしら?」 そう言うがアリスの顔は誇らしげでもある。 「そのサイズが凄いのさ。しっかしコレ、後片付けがなぁ……」 再び宴会場に目を向けると、いつの間にやらほぼお開き状態と化している。先程までへべれけになっていた妖怪達は殆どいない。紅美鈴っぽいモノの残骸や、パチュリーが魔理沙にアルゼンチンバックブリーカーをかましていたが、見無かったことにする。 「当然、手伝うでしょう、シン。神社掃除も結構良いわよ」 そういってシンの腕を取る霊夢。密着しているので、ささやかだが確かな柔らかさが、シンの鼓動を高める。 「え? あ、あ、ああぁ、そ、うだなぁ、うん」 シンも枯れている訳ではない。霊夢の思ったよりも女の子らしい部分に、動揺を隠せない。 「…………………………ふん。なら霊夢、私も手伝うわ? 人は多い方が良いでしょう? ねぇ、シン。アナタもそう思うでしょ?」 「え? 都会派お嬢様のアリスに出来るのかしら? それに役に立たないと人が増えても邪魔なだけよ」 「こんな寂れた神社の掃除ぐらい、私でも出来るわ」 「よし、その喧嘩、買ったわ。段幕のフリして成敗してやる」 「きゃーこわい。シン、助けてー(棒)」 そういってもう一方の腕にアリスが絡み付く。霊夢と違い、コチラはハッキリと分かる柔らかさ。シンの頭は色々といやらしい。いや、エロい。違う、助平な、 「もういいよ! どうせスケベだよ畜生!!」 「?」「?」 両手に華だが、シンがその状況を堪能できるほど余裕を持つのは、まだ遥か先の話………… 「そんな事どうだって良いわ! シン、私とアリス! どっちが正しい! 当然私よね!」 「私に決まってるわ! ねぇ、シン」 「コレ選択肢間違えたら俺が酷い目にあうフラグ建ってるよねぇ!? 畜生!!」 数瞬後聞こえる段幕の音。そして聞こえる男の悲鳴と――ピチューン。 幻想郷は今日も平和。 「ねぇ神奈子、早苗とコイツ、背負う荷物逆じゃない? 普通小柄な私が早苗で、神奈子が刹那じゃない?」 「うははぁ~! 早苗のおっぱい大きくなったねぇ~!」 「おい! 流石にその台詞はまずいぞ!! この変態!」 「落ち着け諏訪子。神奈子はあんな風だが、ここぞという場面ではガンダムだからな」 「起きてんのかよ! とっとと下りろ馬鹿ガンダム!」 「うひゃぁー! 早苗の上気した頬にキスしたいよー!」 「いい加減にしろぉ!」 「……諏訪子。神奈子はジオングとガンダム、どちらが喜ぶだろうか? 俺はガンダムの方が良いと思うが、赤い服が好きな神奈子はジオングの方が喜ぶかもしれない……、俺は……」 「シリアスな顔で馬鹿言ってんじゃないよぉ、この馬鹿刹那ぁ! もぅ、誰かこいつらなんとかしてぇぇぇ~~~~~~!!」 幻想郷は今日も平和 2 『ガンダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアァァァァァァァァムッッッッッ!!』 「あぁ……、朝か……、今日の予定は…………と」 まだ半分寝ぼけたままの頭を無理矢理に覚醒させる赤目の男、シン。彼は今日の仕事を確認するために、アリス手製のカレンダーを確認する。 遠方から聞こえる雄叫びは、いつの間にか此処、幻想郷において目覚まし代わりに使用されている。守矢を中心にして全域に。 どんな大声だと突っ込む前に、守矢近くの妖怪達は、さぞ喧しいことだろう。 風の噂では守矢神社中心とした地域では、驚くほど健康的な目覚めが迎えれるらしい。 「流石に御免だな……」 シンは元々軍人ではあったので、早寝早起きが出来ない訳ではない。むしろ環境に応じてあっさり眠れるように訓練もしている。だが、かといってきつくないかと問われればノーなので、無理矢理起こされるのは勘弁願いたい。 「刹那もクセになってるよな、コレ」 守矢の方角に顔を向け、きっと今頃幼女神に怒られているであろう、幻想郷にたどり着いてからの親友に思い馳せる。 「なぁに? 何かおかしなモノが見えたの?」 「んにゃ、何でも無いよ、アリス。また刹那の目覚ましだ」 「あぁ、あいつね。あの男も懲りないわよねぇ、本当に。『がんだむ』って名前、覚えちゃったわよ」 「正確には、ガンダムの中にも色々種類というか、色々分かれて…………?」 この時シンは違和感に気付いた。 「どうしたの?」 アリスが小首を傾げる。 「わぁっ! ア、アリスッ! 何でいるんだ!?」 金髪の人形使いがそこにいた。 シンは急いで辺りを確認する。完全に見慣れた景色で、どう考えても自宅だ。 ただ一ピースだけ、おかしい。 「何でも何も、泊まったからでしょ?」 しかも恰好がまたいつもと違う。 普段の大人しめな服装は何処へやら、ワインレッドの薄手のネグリジェ。 何時もゆったりとした服で分かりづらい、豊かな肢体が惜し気もなく曝されている。むしろアリスの仕種一つ一つが、披露しているようにも感じられる。 女性としての美しさに、少女特有の未成熟さが合交わり、何とも言えない色香を創る。 シンも男だ。むしろそういう方面には興味津々だ。 「? ……ふふっ、どうしたのかしら、シン? 顔が、赤いわよ? アナタの目と、同じ色……」 アリスの細く柔らかな指が、シンの頬を撫でる。 「こ、こ、こここれは、一体どどどどどどどうしたんでせうか?」 頭から爪の先まで赤くしたシンは、正常に考えることも出来ない。仕方ない、だって男だから。 もっとも多少の冷静さがシンにあれば、アリスもまたシンに負けず劣らず林檎頬になっている事、簡単に言えば照れている事に気づけたかもしれない。 しかしシンは気付かない。 「昨日の事、忘れたとは言わさないわ……」 「えっ!?(忘れた! なんかした!? 流れ的にもしかして事後!? やばい!)」 冷や汗が止まらない。 「責任、取ってもらわないとなぁ……」 (責任!? やっぱ確定か!) 流石に無責任は如何なものか。腹を括るときが来たのか。 シンは恐る恐る口を開―― 「待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 けなかった。 窓から飛び込んできた影が、シンの顔面に直撃する。 声にならない声をあげ錐揉み回転するシン。そのまま自身のベッドにダイブし、強制的に眠りにつかされる。 飛び込んできた影、その正体は―― 「ちょっと霊夢! シンに何すんのよっ! ってか邪魔すんな!」 紅白巫女。怒髪天を突く勢いだが、アリスも引き下がらない。 「邪魔って? 『へべれけになるまで無理矢理飲ませて既成事実を作ろうとはしたモノの恥ずかしくなって結局出来ず、それならあったように振る舞って恋人関係作り上げよう』作戦の事? はっきり言って私が邪魔しなくても失敗したわよ、こんな杜撰な計画」 「何ですってぇ?」 「そもそも手を握るだけで顔赤くするアンタに大人の女なんて土台無理よ! 体を武器にするとか……、あぁ! やらし!」 「ん? ははぁ。……そうよね、だって霊夢には色気なんて無いものね。水着も男物で良さそうなそんなえぐれ胸じゃ、色仕掛けしたって、アホの子にしか見えないでしょうし」 「よし、その喧嘩買った。今度はスペカ無視でぶちのめす」 「望むところよ!」 朝からシンの自宅周りは騒々しい。本人達は知らないが、実は二度寝防止用の騒音だったりするのだが、それをシンが理解出来るようになるには相当先の話だが…… 激しい段幕の嵐。こうして日は暮れていく 今日も幻想郷は平和。 「あ、神奈子様。赤甲羅ぶつけさせて貰いますね」 「トランザム! スマン、神奈子。ぶつけさせてもらう。クッパは鋭く曲がれない」 「下手だねぇ、刹那は。ドリフトはこうやるんだよ。ドンキーだってこの通りさ。あ、神奈子。ついでにバナナプレゼントするよ」 「………………」 「神奈子様、周回遅れですよ」 「早苗は速いな。フラッグのようだ。神奈子、もう一発赤甲羅を送る」 「あーうー、その例え、将来仮面被られても困るから訂正してもらえるかい? あ、神奈子。雷取っちゃったから使うね、小さい体で頑張って」 「神奈子様! ファイト!」 「頑張れ神奈子、お前がナンバーワンだ」 「どこぞの野菜星の王子みたいな物言いだねぇ。それに周回遅れの最下位だし」 「…………もぅ、堪えて下さぃ…………」 いつの間にやら守矢でもっともゲームから縁遠い神となってしまった神奈子! 彼女の明日はどっちだ! 「ま、たまには神奈子がオチ担当してねー。それ緑発射!」 「いやぁ! だからって最下位の人間に甲羅ぶつけて遊ばないでーーーー!!」 幻想郷は今日も平和
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Top 【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】 地獄世界・「地獄百景」 第14話 「汝、平和を欲さば」 ◆ 完成した『リヒター』を散らかった作業台へ立たせた半角は、うっとりと精魂込めた自らの作品を眺めた。 (…よおし…完璧だ…) 人気ロボットアニメ『パラベラム!』の主役機『リヒターver prologue』。1/10スケールのガレージキットをベースに半角が徹底改修を施した自信作だ。 結局、満足出来る可動域を得る為と、電飾を仕込む為にキットを使用したのは頭部と上半身の装甲部だけ。 敢えて過度のディテールアップは行わず、入念な表面処理と塗装でオートマタ独特の不思議な質感を表現している。 製作日数約二十日。この為に人間界から調達した新しいエアブラシは期待以上の働きを見せてくれた。 (…へへん、こりゃ殿下、驚くぞ…) 納品日の今日はちょうど非番だった。技術とセンスの結晶を閻魔殿下のもと、閻魔庁外宮へと運ぶ為に半角はいそいそ段ボール箱に緩衝材を詰める。ジオラマベースと片手間にキットを素組みした『野良』も梱包すると、結構な大荷物だ。 「…汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ…」 嬉しげに呟く彼の名は酒呑半角。ふざけた名前だが地獄界の経済を支える財閥、酒呑一族の鬼だ。今年獄卒隊に入隊したばかりの新人獄卒なのだが、人間界のあらゆるアニメ、ゲームその他インドア趣味に深く傾倒し、その知識と技術は地獄界では他者の追随を許さない。 長らくその経済力にものを言わせ、道楽三昧の日々を送っていた彼だったが、ある日ついに朱天グループの重鎮である父の逆鱗に触れ、文字通り鬼も泣くという獄卒訓練所に放り込まれた。 しかしなんとか過酷な試験をくぐり抜け、第八百壱期隊員として閻魔庁獄卒隊に奉職した今も、その行いは全く変わっていない。 しかし、そんな半角の意外な理解者が次なる閻魔大帝、まだ地獄の小学校に通う皇太子殿下だった。 ゲームやプラモデルに関する深い知識と情熱を殿下に認められた半角は、こうしてしょっちゅう獄卒の仕事をおろそかにしながら、日々殿下に依頼された模型製作に勤しんでいるのだった。 (…さて…今日は殿下、何分くらい黙り込むかな…) 殿下の審美眼は素晴らしい。的確な視点から半角の作品を黙って睨み続け、終いに『凄ぇ…』と短く呟く。その後に続く賛辞は全て、半角の意図を的確に見抜いたものだ。 …まるで『パラべラム!』のアニメ第一話から抉り抜いたような緻密さで躍動するリヒターと、黒い装甲の下に溢れるマナ。殿下は必ずこの傑作からその息吹きを汲み取る筈だ… (…え!?) 突然、半角の懐で『パラベラム!』のOP曲が鳴り始めた。しまった。仕事用の通信機の電源を切り忘れていたのだ。舌打ちをしつつも出ない訳にはいかない。もちろん発信者は、厳しい上司の蒼燈鬼聡角だった… ◆ (くそっ!! なんで非番の日に俺が子守りなんか…) 険悪な表情で肩を怒らせて地獄の大通りを歩く半角を、道行く亡者や魔物たちが慌てて避ける。 魁偉な長身に逆立つ赤い髪、剃り落とした眉に無数のピアスという彼の容貌では当然だ…もっとも、このコーディネートは月末のコスプレイベント用のものなのだが。 『…慈仙洞の子供たちが遠足に行くんだが、一人だけどうしても行きたくない、という子がいるらしい。非番の日に済まないが、嵐角と子供たちが戻るまでその子を見てやってくれ…』 殿下との約束を台無しにした、いまいましい上司の命令だ。幼い子供の亡者など、とっとと転生して人間界に戻れば良いのに、と半角はいつも思うが、『天命』というものはとかく面倒くさく出来ている。 『…この地獄で成すべき事のある魂は、たとえ赤子でも慈仙洞に留まるのだ。鬼は彼らの使命を、渾身の力で支えてやらねばならん…』 これも口うるさい青鬼上司の言葉。半角とて大江山酒呑の家系に生まれた鬼だ。恥ずかしくない程度の正義感と天命を尊ぶ心は持っている。しかし地獄に迎え、教え諭して導かねばならぬ人間たちはどうだろうか? たやすく道を踏み外して悪に染まり、また背負いきれぬ業を土産に地獄に堕ちてくる。賽の河原に果てしなく石を積んでいるのは自分たち鬼ではないか、とさえ半角には思えてならない。 (…まったく、協調性のないガキ一匹のせいで…) 不機嫌に慈仙洞の門をくぐり、半角は広大な育児施設に足を踏み入れた。いつもは子供の泣き声と歓声に満ちた鍾乳洞なのだが、どこへ遠足に行ったのやら、全ての部屋は寂しく静まり返っている。 「…おい子供。どこだ?」 反響する半角の声に混じり、かすかな音楽が『てれびのへや』と、扉に下手くそな文字の書かれた一室から聞こえてきた。仏頂面で歩み寄った彼は部屋に入る前、すでに室内で放送されている番組のタイトルを諳んじていた。 (…『ソルフォースⅤ』か…) 『ソルフォースⅤ』は、半角が一応毎週チェックはしているものの、彼が全く評価していないヒーローアニメ番組だ。テンプレ通りの捻りのない展開に野暮ったいメカデザイン。行き当たりばったりの脚本… (…ま、子供には面白いのかな…) そっと部屋のドアを開けるとたった一人、まだ四、五歳くらいの男の子がテレビに張り付いていた。おそらくこの番組見たさに遠足に行かなかったのだろう。 「…あ、お前…」 どこか見覚えのある、痩せた背中と伸び放題の髪。びくりと振り返った不安げな眼差しは、間違いなくあのときの子供だった。 数日前、半角が三途の河原で亡者の受け入れ任務に当たっていたとき、たまたま担当した痣だらけの無口な男の子だ。たしか『希くん』と名乗っていた。 禄な食事も摂らせないひどい両親に暴行を受け、あっけなく命を落とした可哀想な幼児。冥土から迎えにゆく親族も居らず、彼は居合わせた亡者に痩せ細った手を引かれ、無表情にこの地獄へとやってきたのだ。 (…やっぱり、一番酷いのは人間だ…) あのとき肩を竦めてそう考えた半角は、ただ事務的に彼を嵐角たちの待つ慈仙洞送りにしたのだった。まあ、仲間の鬼には人間の亡者と懇意にしている者も多い。中にはあろうことか恋仲にまで発展している者までいる。 しかし半角は人間の深い業に巻き込まれたり、いつかは別の道を歩む魂と縁を持つのは嫌だった。鬼だってその無限ではない命を自分の為、有意義に使って何が悪いのか… 「…面白いか? 希くん?」 「…うん。」 なんとなく発した半角の問いに、希はむっつりと頷いて答えた。しかし相変わらずその視線は、『ソルフォースⅤ』に釘付けになったままだ。 『…作戦は失敗しました…でも、次こそは必ずや…』 戦闘シーンが終わり、満身創痍の女幹部が悪のアジトに帰ってきた。彼女に背を向けた組織の首領格は、先週得た新たな闇の力で赤くその瞳を光らせている。 (…死亡フラグ、だな。かなり強引だけどな…) 組織への忠誠を失ってはいない女幹部の粛清など不合理だ。彼女と正義のヒロインの因縁も初期には描かれていた筈だった。しかし、敵組織の内紛はこの時期の決め事なのだ。 『はうっ!?』 案の定、マントを翻し振り向いた首領の剣は、女幹部の胸を深く刺し貫いた。狂気めいた笑みを黒い唇に浮かべた彼は囁く。 『…フェオレよ、貴様はもう必要ない。役立たずは消えるのが我らの掟だ…』 (…おいおい、人員整理にしても唐突だろ…例の伏線はどうすんだ?) 敵組織の非情さを強調し、強敵のパワーアップを披露する陳腐な演出だ。どこか華のないキャラクターデザインも、幹部フェオレ中途退場の理由かもしれない… (…この辺が、老舗作品との力量差なんだよな…) ふと自分が残忍な悪の首領とそっくりないでたちである事に気付き、乾いた笑みを漏らして希を覗き込んだ半角は、青ざめた彼の頬にとめどなく流れる涙を見た。 「お、おい!? どうした!!」 「…仲間なのに…殺した…」 舌足らずの涙声に、半角は一瞬言葉を失う。作り事が判らぬ年齢の子供の相手など、半角には全く経験がなかった。 「…フェオレ、怪我…してたのに…」 膝を抱え嗚咽する希の背中を曖昧に撫でながら、半角は記録にあった彼の人生を思い出す。アパートの一室から殆ど外出もせず、スナック菓子で命を繋ぎながら酔った父親に蹴り殺されるまで、僅か四年半の素っ気ない記録だった。 (…脇キャラに同情出来る人生かよ…手前のほうがよっぽど悲惨じゃねえか…) 希の恐ろしい日々の生活のなかで、僅かな外界への窓であった筈のテレビ。そしてその世界に生きる不遇なキャラクターは、この自らの死も理解してはいない幼児の大切な友人だったのだろう。 無秩序な宇宙で気まぐれな創造者に翻弄され、たやすく奪われる命。現世で同じ理不尽な仕打ちに耐えてきた彼は、また理解出来ぬ不条理な悲劇に直面したのだ。 (…確かにこいつにゃ、少し惨い展開かもな…) いつの間にか、休日出勤の苛立ちは消えていた。希に掛ける言葉も思いつかぬまま、半角はとりあえず震える小さな背中を撫で続ける。だが心に浮かぶ慰めの台詞は、どれもどこか空虚で寒々としたものばかりだった。 (…畜生、結局どこでも一番悪いのは、無責任な『作り手』ってことだ…) 348 :代行 :sage :2010/03/28(日) 14 25 53 ID FqWttdV2(12) 天の意志を疑うことは鬼の道に外れたことだ。だが半角は柄にもない憤りを覚えていた。運命は希の短い生涯に二次元の友人たち以外、一体何を与えたのか。家族の愛から瑞々しい喜怒哀楽を育むこともなかった小さな魂に… (…いや…違う…) 半角は希の傍らに座り、その悲しげな横顔をもう一度見つめる。今、彼の頬を濡らし、その薄い胸を締め付けているもの。それは紛れもなく虚構に生み出され、そして裏切られた『妖将フェオレ』への深い憐れみだった。 …獄卒の長たちは言う。『全ての魂は善を持って生まれ、苦悩の生のみがそれを磨き上げる』と。希は天に授かった善き魂を、虹のように儚い人生の間、過酷過ぎた『惨事』から、しっかりと守り抜いたのだ… 「…フェオレはもうすぐ此処に来るんだ。今度こそ、幸せになる為にな…」 ぼそりと呟いた半角は、その自分らしくない言葉に少しはにかんだ。そして涙を拭って自分を見上げる希の軽い体をふわり、と抱き上げる。 「…俺の部屋へ来い。本物の『名作』ってやつをたっぷり観せてやる。」 「あ…」 慣れない抱擁に身体を堅くする希が自分の脚で駆け出すには、熱く全身を巡る強く優しい『マナ』が必要だ。そしてその為に鑑賞すべき作品を最もよく知っている鬼が、この地獄界で半角以外にいるだろうか? 「…汝、平和を欲さば、戦いへの備えをせよ、だ」 こつん、と額を合わせ囁いた半角の言葉に小首を傾げた希は、初めて小さな微笑みをその頬に浮かべた。 終わり (【ロボット物総合スレ】よりPBMの人氏作『パラべラム!』の設定を一部お借りしました。) 上へ